Diario
2003年7月19日
今日も最高気温50℃という、とても暑い日だった。
いつもの練習と舞踏団のリハーサル、それにクラスを終えて22:30に家へたどり着いた。
外気は夜だというのに40℃という暑さ。朝の9時に家を出たまま、一度も帰宅することができなかった。
今日は終日、練習着とフラメンコの靴、バレエシューズでいっぱいのスポーツバックを持って、練習ばかりしていた一日だった。(・・・ほとんど毎日そうなのだが。)
冷蔵庫の中から赤ワインをソーダ水を取り出し、「バルガス」を作った。
「バルガス」とは赤ワインと甘いソーダ水を割ってつくる飲み物で、コルドバ以外の町では「ティント デ ベラー」と呼ばれている。コルドバで、この飲み物を作る時は上等のワインを使用せず、バルデペーニャという町で作られる安いワインを使う。それで、バルデペーニャにある町の名をとって「バルガス」と呼ばれているそうだ。
コルドバ以外ではバーで「バルガス」と言っても何を注文しているのか分からないだろう。
アルコールに弱い私は赤ワイン1に対してソーダ水5を入れる。氷を一つ。レモンのスライスを入れて出来上がり。カラカラに乾いた喉に炭酸のアワがはじきながら流れ入っていく。一杯飲み終えたころにはかすかに酔った感じがして、頬がほてる。「バルガス」を作っている間に留守番電話のメッセージの再生がちょうど終わる。
サロンの長いソファに横たわり、ひじ掛けに足をのせる。
一日中、長時間のトレーニングで痛めつけた足は朝よりも少しはれていた。足は私のすべて。
その日の足のコンディションで私の踊りも変わってくる。足に良いと言われることはいろいろと試すようにしている。私の体の中で、私にとって一番大切な足に日々悩まされ、また、日々救われている。
これからもうまくつきあっていかなければならない。
足の親指の先が少ししびれている感じがした。
あとで、岩塩を入れたぬるま湯の中で指をマッサージしよう。
それに、水晶の石を入れて、その中で足をゆっくりとマッサージすると足がとても元気になる。
岩塩のお湯のなかで両足を真ん中にいれ、そのまわりに円を描くように2,3個の水晶の石を沈める。
ぐるぐると石のエネルギーがまわって足を癒してくれる。
このときの感覚はなんとも説明しがたいが、足は確かに元気になるのだ。
だけど、ソファにうもれた私の体はだんだんと重たくなってきて、なんだかとってもいい気持ち。
もう、動けなくなってしまっていた。
いつの間にかウトウトと居眠りを始めていた。
突然、携帯電話が鳴った。バッグに入れたままになっていた携帯電話の音に気づき、起き上がって電話をバッグからそれを取り出すまで、かなり長い間鳴っていた。
「ディガ?」(もしもし)
「ナビラ?私よ。元気?」
セリビアの友人、シルビアからだった。
シルビアが出張先のバルセロナからかけてきたのだった。
翌日のお昼にセビリアへ戻るとのことだった。彼女の声はとてもはずんでいた。
バルセロナでの講演がうまくいったと言っていた。
バルセロナの人々はアンダルシアの人々と違って、都会的で洗練されていて仕事がしやすいと言った。
一般の人でも定期的にサイキカウンセリングを受ける人が多いそうだ。アメリカなどの影響を受けて、流行しているのだろうか。
私もアンダルシアに住んで長いので、彼女の言っていることはよく分かるが、アンダルシアの人々はサイキカウンセリングなんて、行かないだろうな。
特に、コルドバで、カウンセリングに通っていることが近所の人に知られたら、たちまち噂になって、よからぬことがささやかれるだろう。
シルビアが言うには、コルドバほどではないが、アンダルシア州の中で一番大きな町、セビリアでも同じような感じだそうだ。ここ、アンダルシア州で、サイキカウンセリングへの理解は一世紀ほど早すぎるのかもしれない。
それでも、彼女はセビリアで少数の患者さんから信頼されていて、いつもカウンセリングの予約はいっぱいだという。
ただ、やはりスペインの北部の方がカウンセリングをするにしても講演をするにしても、やりやすいのだそうだ。
私たちはしばらく話した後、翌日の土曜日に会うことにした。
アンダルシア州最南部の町、カディスの海へ行くことにした。
彼女の子供たち(シルビア16才、ハビエル12才)は夏休み(10月いっぱいまでらしい)を利用しておばあちゃんと一緒にアメリカの親戚の家へ行っているので、パコと離婚した彼女は一人の夏をセビリアで過すことになっていた。
そして私も、現在恋人はいないし、最近のコルドバの暑さにもまいっていたので、疲れをとるためにも、彼女と海へ出かけることにした。
まだ今年はプールにも、海にも行っていなかった。
電話をしながら、なんだか、うきうきしていた。 足の疲れも体のだるさも一度に吹き飛んだように感じられた。
コルドバからカディス行くにはセビリアを通過しなければならなかったので、まず、セビリアまでスペインの新幹線・AVEに乗って行くことした。それから、彼女がAVEの駅まで車で迎えにきてくれることになり、そのまま、彼女の車でカディスへ向かうことになった。
彼女と海へ行くのは、およそ11年ぶりだ。
「あなたとまた海へ行けるなんて本当にうれしいわ。」と、シルビアが言った。
「海辺で太陽にあたりながらゆっくり話をしましょうよ、シルビア。あなたは日焼けするの、好き?」
「今は人に見せるのが恥ずかしいほど真っ白なのよ!このまま白かったら、男性にもてないわね。魅力がないもの。」
「私なんて、道端で焼けたから、洋服で隠れているとこは白いのよ。最低でしょ。きれいに焼くために2種類の日焼けクリームを使いわけなければならないのよ。」
シルビアが「私のいとこが海辺にマンションを持っているの。今はバカンスで北の方へ行っているから、カギを借りれるみたいなの。もし、よかったら、そのマンションに泊まらない?」と、言った。
「まあ、いいわね。私はペットのルーシーをあずかってもらわないといけないから、それを確かめてからまた、電話するわ。」
私は電話を切るとすぐにルシアに電話した。ルシアは私のペットのかかりつけの獣医さんのアシスタントをしている女性で、偶然にも私の近所に住んでいた。
彼女は翌日の午前中から夜中の12時までみてくれるということだった。彼女も週末は里帰りをするらしく、日曜日まであずけることは無理だった。
でも、土曜日の夜12時まではルーシーを預かってくれるとのこと。私はOKした。
少しでもルーシーが、家の中に閉じこめらたままでいる時間を少なくしてあげたかった。
今回は、ルーシーには悪いけど、日曜日はお留守番をしてもらおう。
ルーシーの件が決まると、すぐに私はシルビアに電話をいれた。
明日の待ち合わせの時間をきめた。
午前11:30にセビリアに到着するAVEに乗ることにした。彼女は正面入口に車をつけ、私を待っていてくれることになった。
ルーシーを連れてきてもいいわよ。。と言ってくれたが、彼女のいとこの家に泊まるのだし、彼女の不在の時に犬を連れて行くことには抵抗があり、断ることにした。

